糖尿病による体重減少の理由とは?
「普段と変わらない食生活をしているの、体重が減ってきた。」
「特に運動らしい運動は、していないのに体重が減ってきた。」
このように、心当たりが無いのに、体重が減ってくることがあれば、ちょっと注意が必要です。
なぜなら、このような症状がでる場合、糖尿病が進行していている可能性があるからです。
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糖尿病が進行するとナゼ体重が減少するのか?
前回の記事でも少し触れましたが、糖尿病が進行してきますと、体重が減少してきます。
これは、血液中のブドウ糖を上手く細胞内に取り込めなくなるからです。
血液中のブドウ糖を体内に取り込めないということは、極端な話、何も食べていないのと同じこと。
ですから、体は、生命を維持しようと、蓄えてある脂肪や筋肉をブドウ糖の代わりにエネルギー源として使うようになってしまい、結果的に何もしていなくても、どんどん痩せていってしまうのです。
このような、ブドウ糖をエネルギー源として体内に取り込めない状態のことを、
「糖代謝異常」
と呼んでいます。
では、なぜ糖尿病が進行すると、ブドウ糖を体内に取り込めなくなってしまうのでしょう?
ブドウ糖を体内に取り込むには?
血液中のブドウ糖を体内に取り込む上で、重要な働きをするのが、
「インスリン」
です。
インスリンとは、すい臓から分泌されるホルモンの一つで、血糖値を下げる、唯一のホルモンとも言われています。
インスリンは、すい臓の中のランゲルハンス島というところにあるβ細胞で作られていますが、血糖値が上昇すると、すぐに、このβ細胞が反応してインスリンを分泌し、ブドウ糖を体内に取り込み、エネルギーとして利用したり、蓄えたりして血糖値をコントロールします。
また、インスリンには、たんぱく質を合成したり、細胞の増殖を促す役割も担っています。
健康な人であれば、インスリンが分泌されると、正常に糖の代謝が行われるので、正常な血糖値を保つことが可能になります。
しかし、インスリンの分泌が低下したり、インスリンの抵抗性が高まると、糖代謝に異常をきたすようになってしまします。
なぜインスリンの分泌が低下してしまうのか?
血糖値をコントロールする上で、とても重要な役割をするインスリンですが、なぜ分泌量が減ってしまうのでしょうか?
理由は、簡単です。
すい臓の疲弊です。
中でも、インスリンを分泌する、ランゲルハンス島のβ細胞の疲弊が、インスリンの分泌を低下させるのです。
食べ物を食べると血糖値が上がり、自動的にインスリンが分泌されます。
少しの血糖値であれば少しだけ、普通の血糖値であれば、普通の量だけインスリンを分泌させます。
しかし、食べ過ぎや、飲み過ぎなどの理由で、血糖値を上げ過ぎてしまうと、必要以上にインスリンを分泌させることになります。
たまの食べ過ぎ、飲み過ぎ程度であれば、まだ良いのですが、慢性的に、食べ過ぎ、飲み過ぎが続くと、すい臓のβ細胞は、たまったものではありません。
常にインスリンを、ガンガン分泌しまくらなければならない訳ですから、疲れてしまうのは当然のことです。
インスリンを分泌し過ぎて、すい臓が疲弊してくると、やがて徐々にインスリンを分泌する力は弱まり、最終的には、インスリンを出すことが出来なくなってしまいます。
悲しいことに、一度、分泌能力を失うと、二度と正常な状態には戻りません。
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インスリンの抵抗性とは、どういうこと?
血糖値が上昇すると、インスリンが分泌され、血液中に流れ込み、全身の臓器に行き渡るようになります。
そして、各臓器にブドウ糖を取り込むように働きかけるのですが、臓器の細胞の表面には、
「インスリン受容体」
というインスリンを受け入れる鍵穴のようなものがあります。
ここにインスリンが合わさると、細胞の扉が開いてブドウ糖を取り込むことが可能になりのです。
もし、何らかの理由で、「インスリン受容体」に異常があった場合、インスリンと上手く合わさらず、細胞の扉が開くことができないので、臓器へブドウ糖を取り込ませることが出来なくなってしまいます。
このような状態を
「インスリンの抵抗性」
といいます。
インスリンの抵抗性が高まれば、高まるほど、細胞にブドウ糖が取り込めず、血糖値は下がらないという訳です。
血糖値が下がらないのですから、すい臓は、インスリンが足りないと勘違いして、更に多くのインスリンを分泌するようになり、この状態が慢性化すると、やがて、すい臓のβ細胞は、疲弊して機能しなくなってしまうのです。
なぜインスリンの抵抗性が高くなるのか?
インスリンの抵抗性がなぜ高くなってしまうのか、その理由は、はっきりしたことは、解明されていません。
しかし、肥満が一つの大きな要因ではないかと考えられています。
肥満になると、脂肪細胞が大きくなり、体に悪影響を及ぼす、「悪玉物質」と呼ばれる物質を分泌するようになります。
悪玉物質とは、「TNF-α」や「PAI-1」などですが、インスリン受容体とインスリンが結合した時に起こる様々な反応に影響を及ぼして、ブドウ糖の取り込みを妨害すると考えらているのです。
肥満の人で、糖尿病の人は、減量した方が良いと言われるのは、インスリンの抵抗性を低くする為でもあるのです。
まとめ
糖尿病で、体重が減ってしまう理由は、糖代謝異常が原因です。
糖代謝異常は、慢性的な高血糖によってすい臓のβ細胞が疲弊してしまい、インスリンの分泌が悪くなってしまったり、インスリンの抵抗性が高くなってしまって、細胞のエネルギー源であるブドウ糖を体内に取り込むことが出来なってしまうことで発生してしまいます。
さしたる理由もなく、体重がどんどん減ってしまう人は、早めに原因を突き止める必要があります。
半年で、体重が5%程度、減少した場合は要注意です。
それ以上痩せてくるようであれば、危険な状態とも言われていますので、先延ばしせず、必ず受診するようにしましょう。
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